令和6年度数理物質科学研究群学位記授与式を挙行
2025.03.26
令和7年3月25日、数理物質科学研究群では、令和6年度学位記授与式を挙行しました。博士後期課程は黒田研究群長、学位プログラムリーダー・サブプログラムリーダー出席のもと、1H101にて執り行いました。博士前期課程は学位プログラムリーダー・サブプログラムリーダー出席のもと、各プログラムにて執り行いました。
学位を授与された皆様のますますのご活躍をお祈り申し上げます。

(1H101で行われた博士後期課程の学位記授与式の様子)
【式辞】
皆さん、本日は修了おめでとうございます。
ここに出席されている50名の皆様は、本日、無事、博士課程を修了されて、学位を授与されました。これまで皆さんが尽くされた努力と研鑽に対し、心から敬意を表し、研究群を代表してお祝いを述べたいと思います。また皆さんの大学院の生活を支えて来られた家族の方々にも、お慶びを申し上げます。今日皆さんが授与された博士という学位は、大学が授与する学位の中では最高位のものであります。この博士という学位は、自立して研究活動を行うことが出来る能力を有すると認められた者に授けられるもので、皆さんが一人前の研究者として認められたことを意味します。
皆さんは、博士課程の3年間、人によってはそれより短く、あるいは長い期間、研究に励まれ、何らかの意味で、世界で初めての発見なり、成果を挙げられ、今日ここに学位授与に至ることができました。その過程では、皆さんはいつも順調に研究を進めることができた訳ではないかも知れません。思うような結果が出ずに試行錯誤したり、壁に突き当たってそれを創意工夫で乗り越えたり、また予想もしなかった新しい発見に心躍らされたり、さまざまな経験をされて来たのではないかと思います。その過程で、研究の醍醐味を感じ、意欲を掻き立てられ、自分の能力に自信を持ち、成長を実感したこともあったと想像します。そうした試行錯誤の経験と創意工夫の中で培われた能力に対して、皆さんには大いに自信を持って、社会に出てからもその能力を発揮して貰いたいと思います。この能力と言う言葉には、いろんな要素が含まれると思いますが、要は自ら考え、計画し、軌道修正しながら物事を進めて行くことができる力、これは専門の研究を離れても、あらゆる場で通用するユニバーサルなものであるはずです。皆さんの修了後の進路は本当にさまざまで、中には研究とは全く異なるフィールドに飛び込まれる方もおられると思いますが、どのような場においても皆さんは博士号の保持者として一目置かれ、いろんな場面でリーダー的な役割を求められることが多いでしょう。そういう時でも、自信を持って培った能力を遠慮なく役立てて頂きたいと願っています。
これに関連して、ここで私が皆さんにご紹介したい言葉があります。皆さんは、梅棹忠夫(うめさおただお)という学者をご存じでしょうか。文化人類学のパイオニアとして知られていますが、それだけでなく、民族学、情報学など幅広い分野で活躍した方で、皆さんも岩波新書の「知的生産の技術」という本は読んだことがあるかも知れません。この梅棹忠夫が、インタービューなどでよく述べていた言葉に、「請われれば一差し舞える人物になれ」という言葉があります。これは、どんな人でも、周りから認められ能力を発揮するよう求められることがある、そのような時が来たら、その役割をきちんと果たしなさい、またそれに備えて日頃から研鑽を欠かさないようにしなさい、といった内容になります。ここで「一差し舞う」というのは、必ずしもリーダーとしての役割だけでなく、リーダーをフォローしたり、あるいは一兵卒だったり、集団の中で人がそれぞれの役割を自覚して責任を果たすことで、全体として高いパフォーマンスを発揮できる、という意味で言われています。ただ、博士号を取得した皆さんの場合は、とりわけその場のリーダーとしての役割が求められることが多いでしょう。それに対して、皆さんはもしかしたらいささか荷が重く感じ、躊躇されるかも知れません。しかしながら、皆さんは博士号保持者として期待される立場を自覚し、社会に出てからも研鑽を欠かさず、必要とされた時には自然とその役割を果たせるようになって欲しいと願っています。「あの人に任せておけば大丈夫」と頼られる人になって、世の中に大いに貢献して頂きたいというのが、皆さんを送り出す私達の願いであります。
最後になりましたが、皆さんがこれからも健康で、幸せな人生を送られることを願って、私からの祝辞とさせて頂きます。
令和7年3月25日
数理物質科学研究群長 黒田 眞司