白川英樹先生のご逝去を悼んで
白川英樹先生のご逝去を悼んで
白川英樹先生のご訃報に接し、筑波大学数理物質系および同系物質工学域を代表して、謹んで哀悼の意を表します。
白川先生は、現在の物質工学域の前身である「物質工学系」に長年にわたり所属され、本学が世界に誇る物質科学・材料工学分野の卓越した研究基盤の確立に多大なご尽力をなさいました。化学と物理の垣根を越えた高度な学際研究によって「導電性高分子」という全く新しい学術領域を切り拓かれた偉業は、現在の「有機エレクトロニクス」分野の幕開けとなり、有機ELや有機太陽電池、有機トランジスタといった次世代デバイスの飛躍的な研究発展へと繋がっています。2000年のノーベル化学賞ご受賞に象徴されるこの多大な功績は、本学の数理物質系が有する研究力の高さを世界に証明するものでありました。これは数理物質系および物質工学域に集うすべての研究者にとって最大の誇りであり、いまもなお世界トップレベルの研究を目指す上での高い目標であり続けています。
先生のご研究に象徴される化学と物理を融合させる真理探究の姿勢や、分野の壁を越えた自由闊達な議論は、現在の数理物質系が掲げる「理学と工学の融合」という理念の原点として脈々と息づいています。若手研究者や大学院生の育成に注がれた情熱とともに、その精神は今日においても、国際的に高く評価される最先端の研究成果を生み出す強力な原動力となっています。現在も物質工学域にて大切に維持している先生の名誉教授室や、数多くの功績を後世に伝える「白川記念室」および「白川英樹博士記念展示」は、先生の輝かしい伝統を日々私たちや後進の学生たちに静かに語りかけ、革新的な研究へと向かう大きな鼓舞となっています。
私たちは、白川先生がこの筑波の地に残された偉大な足跡と学術の伝統をこれからも守り継ぎます。そして、数理物質系が国内外の科学技術を牽引する国際的な研究拠点としてさらなる飛躍を遂げるべく、次世代を担う気鋭の研究者の育成と、世界をリードする学術の発展に邁進していく所存です。
在りし日の温容を偲び、これまでの多大なご功績に深く敬意と感謝を捧げるとともに、心よりご冥福をお祈り申し上げます。
筑波大学 数理物質系長 初貝 安弘
筑波大学 数理物質系 物質工学域長 丸本 一弘











